1999年4月20日火曜日

☆Hollies: Butterfly (EMI/4-99771-2)

 このホリーズの最高傑作アルバムも、ついに今までと同じ stereo/mono の仕様でリリースされた。前作「Evolution」とこのアルバムはどちらも 67 年のリリースで、ホリーズのピークは間違いなくこの年だった。バラエティに富んだサウンドと、美しく洒落た感覚を兼ね備えたメロディは、最も充実しており、ホリーズの弱点だった曲の平坦さも一層された。格調が高く、気品に満ちた大傑作だったにもかかわらず、本作はノン・チャートで終わっていまう。これだけの力作が受け入れられない現状に見切りをつけたか、グループの柱の一人であるグラハム・ナッシュは、翌年グループを脱退、クロスビー・スティルス&ナッシュへと参加する。よってナッシュがいた最後のアルバムでもあった。なお、1曲目のモノの“Dear Eloise”はなぜかイントロの冒頭の音が欠けてしまっている(佐野)
Butterfly

1999年4月10日土曜日

☆Paul McCartney: Band On The Run 25th Anniversary (東芝EMI/65180・81)

名盤の誉れ高い「Band On The Run」のリリース 25 年を記念して作られた期間限定の 2 枚組 CD ボックス。1 枚は“Helen Wheels”の入ったアメリカ仕様、そしてもう 1 枚が肝心なメイキング集である。ここにはポールの言葉を中心に、アルバム製作に関わった人間や、自分のおしゃべりを題材にポールが目の前で瞬時に“Picasso's Last Words”を書き上げ驚嘆したというダスティン・ホフマンの言葉まで、興味深い話が数多く収められた。もちろん言葉だけではなく、“Band On The Run”“Jet”“Bluebird”などの貴重な初期デモ・テイクが収められているので、これは入手しなければいけない(佐野)

☆Gary Lewis & The Playboys: This Diamond Ring/A Session With (Taragon/1053)

 Collectable から 3、4 枚目のアルバムの 2 in 1 が出し直されたら、Taragon からは 1、2 枚目の 2 in 1 が登場した。この頃は、ヒット曲とアルバム用の曲のレベルの差が大きく、ベスト盤を持っている人にとって「大発見」はないだろう。基本的にアルバムは有名曲のカバーが多く、その中ではポップ系のカバー曲はそつなくまとめられているが、UK のビート・グループのカバーははっきり言ってチャチ。その中、スナッフ・ギャレット、レオン・ラッセルらの手によるスタッフの「オリジナル」は群を抜いた出来で、“This Diamond Ring”や“Count Me In”“Save Your Heart For Me”の大ヒット 3 曲は、完璧なポップ・チューンに仕上がっていた。この裏方スタッフがアルバム用に曲提供をした曲が数曲あり、それらもかなり出来がいい。あとボーナス・トラックは今までアルバム未収録だった“This Diamond Ring”の B 面 2 曲のインスト・ナンバー。ここで聴こえる演奏が、レコーディングでは使ってもらえないプレイボーイズの演奏だそうなので、是非聴いてみてもらいたい(佐野)
This Diamond Ring / Session With