1998年10月27日火曜日

☆Rockin' Berries : They're In Town (Sequel/299)

ゴフィン=キングの "He's In Town" のヒットで知れれるバーミンガムのバンド、ロッキン・ベリーズ。このグループはリード・ヴォーカルのクリス・レア、そしてファルセット・ヴォーカルで時にリードを取るゲオフ・タートン(後にソロに転向。あのジェファーソンだ)の2人のダブル・リードが特徴だ。
サウンド的には当時のマージー・ビートのような軽いR&B色を帯びたビート・ナンバーもあるが、コーラスを生かしたものやストリングスの入ったバラード、コミカルなナンバーが多く、全体的にポップ色が強いグループだった。出来がいいのはゲオフが主にリードを取った、ゴフィン=キングやカーター=ルイスのナンバーの "He's In Town"  "You Are My Girl"  "Take A Giant Step" "Funny How Love Can Be" など、またジャック・スコットの "What In Thr World's Come Over You" の爽やかなカバー、バカラックが書いたような洒落たボブ・クリュー=チャーリー・カレロ作の "Across The Street" 、健闘賞をあげたいフォー・シーズンズの名曲 "Dawn" のカバー、この CD で発見したトニー・マコウレイ作 "When I Reach The Top" (佐野)
Pye Anthology, The (They're In Town)


☆Long John Baldry : Let The Heartaches Begin (Sequel/298)

 ブルース・インコーポレッドのヴォーカリストとしてデビューして以来、R&B歌手として評価の高かったロング・ジョン・ボードレーだが、あまり商業的な成功を収められず、パイに移籍してソロ・シンガーとして新たなスタートを切ることになった。
ここで出会ったのはパイに採用されたばかりのトニー・マコウレイ。マコウレイは得意なキャッチーなフックを持つ "Let The Heartaches Begin" を書き、いきなり全英1位を獲得した。マコウレイはこの後に "Mexico"  "It's Too Late" のヒット曲や "Long And Lonely Night"  "Better By Far"  "Wise To The Ways Of The World"  "Since I Lost You Baby"  "Hold Back The Daybreak"  "When Brigadier McKenzie Comes To Town"  "Lights Of Cincinnatti" という10曲を提供、バラード・タイプの歌い上がるものが多いが、いずれも心引かれるメロディが潜んでいて、才気溢れる若きマコウレイの素晴らしい曲作りが堪能できる。そのすべてがこの CD に( "Mexico" はSpanish Versionも収録)収録された。同じく本 CD にはトニー・ハッチの書いた曲も4曲含まれこれにも注目。ロング・ジョン・ボートレーのコクのあるヴォーカルで、彼らポップスの職人の優れたナンバーはさらに輝きを増した。
(佐野)

The Pye Anthology: Let the Heartaches Begin

1998年10月17日土曜日

☆Beach Boys:Megamix(EMI/Beach 100)

これはラジオ局用のプロモのみで作られたビーチ・ボーイズの既発表曲のいわゆる「ビーチ・ボーイズ・メドレー」。ただし 1981 年に編集されてヒットした "The Beach Boys Medley" などとはまったく違う、Brian Butler による新編集のメガミックスである。全 10 曲のメドレーで、曲順は "Do It Again" "Sloop John B." "I Can Hear Music" "Help Me Rhonda" "I Get Around" "When I Grow Up" "Dance,Dance,Dance" "Surfin' USA" "Barbara Ann" "Good Vibrations" 。それぞれのつなぎは巧みで、ドラムとベースのリズム隊をそのまま次へとずっと忍び込ませた "Do It Again" から "I Can Hear Music" のつながりは特に抜群。 "I Get Around" の出だしの "around round get around" のフレーズを "Surfin' USA" のカウンター・コーラスに被せたのも面白い。そして "Barbara Ann" から "Good Vibrationsは、前者の "バーバーバー" のコーラスを、後者の "グー・バッバッ" のバック・コーラスに対応させていて、このあたりが非常に上手いはっきり言って 81 年のメドレーより出来はよく、プロモのみなのが残念な CD シングルだ。(佐野/Special thanks to 東芝EMI)

☆Beach Boys : Endless Harmony (東芝EMI/50720)

アメリカのTVで放映されたビーチ・ボーイズのドキュメンタリー映画のサントラ盤がついにリリースされた。
まずはいきなりブライアンとサンレイズのリック・ヘンの共作 "Soulful Old Man Sunshine" のデモからスタート、続いて素晴らしいゴスペル調のアカペラからジャズ調のアレンジに乗ってソウルフルにスウィングするブライアンとリック・ヘンによる素晴らしいスタジオ・ヴァージョンが登場する。いきなり本 CD のハイライトからのスタートだ。ブートではお馴染みの66年のミシガン大学でのライブ・メドレー、明らかに不要なファルセットのコーラスを加えていた "Help Me Rhonda" の没ヴァージョン、 "Kiss Me Baby" などのステレオ・ミックスなどを挟み、次のハイライトである "Heroes And Villains" の初登場のデモが現れる。ここには今までどのブートでも聴くことが出来なかった幻の "I'm In Great Shape" の一部が含まれていた。 "Good Vibrations" "God Only Knows" のライブ・リハーサルの後はFlameの2人のメンバーが加入した72年のライブだ。その "Wonderful" は「Smile」のヴァージョンで歌われ感激、続いてFlameのナンバーのファンキーな "Don't Worry,Bill" へメドレーで移行していく。中間部のアレンジが違う "Do It Again" の初期ヴァージョン、そして嬉しい "Break Away" のブライアンのソロ・ヴォーカルによるデモ・ヴァージョン、 "Loop De Loop" のシンプルなデモ "Sail Plane Song" 、そしてブートでお馴染みの "Loop De Loop" にアルが新たにリード・ヴォーカルを入れた1998年版ヴァージョン、デニスの重厚で感動的な71年のソロ "Barbara" が次々と登場する。その後は70年の "Til I Die" の初期ヴァージョン、デニスの未発表のセカンド・ソロ「Bamboo」から "All Alone" 、マイクの未発表ソロ・アルバム「First Love」用の "Brian's Back" というブートでよく聴くナンバーになる。この中で "Brian's Back" はマイクの隠れた傑作ナンバーであり、今まではディック・クラークのプロモLPの中でしか公式にリリースされていなかった貴重な音源だ。なおこの CD のファースト・プレスのチャプター3のラジオ・スポット "Radio Concert Promo1" では、デニスとブライアンとの掛け合いではなく、別に録られたデニスのコメントが間違って収められたため、セカンド・プレスからは正しいものに改められた。日本盤はセカンド・プレスの内容で、USのファースト・プレスもその内、貴重になるかも。(佐野)