これはトニー・リヴァースが1971年から1993年までに発表、もしくは録音した作品を、トニー・リヴァース自身の意向も尊重して選んだ、まさにベストの作品集。
まずいきなりMagic Busの "Finders Keepers" にノックアウトだ。Salt
Water Taffyの名曲を、原曲の雰囲気を壊さずにさらに厚いコーラスで包み、オリジナルを超えた。そしてテリー・メリチャーの知られざる作品 "My Mum" をビーチ・ボーイズ・スタイルで爽やかに聴かせてくれるIndiana。がらりとコンテンポラリーなサウンドに変わるのがトニー・マコウレイ作のRiverの "A Little Thing Like Love" 。そしてロックン・ロールやバラードのナンバーなどが続いていくが、その中で気に入ったナンバーを紹介すると、70年代から今につながるブライアン・ウィルソンのサウンド作り、特にキーボードの使い方を見事に表現してみせたThe Brian Bennet Bandの "The Girls Back
Home" 。バック・コーラスにはクリフ・リチャードも参加していた。C&WフレイバーのサウンドにハーモニーがマッチしたShineの "Candy Girl" もいいし、トニー本人が書いた作品を追えばトニー・マコウレイのサウンドを彷彿とさせるSilver Liningのキャッチーな "Bye Goodbye"
、美しいバラード "I Wonder If Anything" 、ロック・ビートにメリハリの効いたハーモニーを乗せたHollywood Freewayの "This Feeling Called
Love" 、ソウルフルなRiverとHollywood
Freewayの "You Are The Song" 、クリスマスの定番になっても不思議がない傑作
"Home For X'mas" とどれも素晴らしい作品ばかりだ。そしてトニーの自家薬籠中とも言えるアカペラは、フォー・シーズンズとは違う解釈を見せた "I've Got You Under My Skin" 、クリスマスを彩る "X'mas Magnificat" 、本 CD の最後を飾るビーチ・ボーイズの "And Your Dream Comes True" の3曲が収録された。こういった傑作が並ぶ中、トニーのアレンジの力を見せつけたFreshmenの "Swanee River" も是非じっくりと聴いて欲しい。あのフォスターのスタンダード・ナンバーを、原曲がまったく分からなくなるほどの編曲とコーラス・アレンジで現代に別の曲として蘇らせた。(佐野)
0 件のコメント:
コメントを投稿