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1998年7月28日火曜日

「Sunshine Days」シリーズの第4弾、第5弾がリリース


Various : Sunshine Days Volume4(Varese Sarabande/5932)
Various : Sunshine Days Volume5(Varese Sarabande/5933)
 Sunshine Days」シリーズの第4弾、第5弾がリリースされたが、相変わらずそのネタが VANDA そのもので、ここまでくるともう失笑するよりない。
何しろ冒頭がこちらが選曲していたワーナーのソフト・ロック・コンピのタイトルと同じ "Feelin' Groovy" "Windy" 。フィフス・ディメンションやレフト・バンク、チェリー・ピープル、チャド&ジェレミー、ニュー・コロニー・シックス、サンシャイン・カンパニー、キャス・エリオット、トミー・ロウ、トーケンズなどが入るのは分かるとして、タートルズ、ドン&ザ・グッドタイムス、バッキンガムス、それにブライアン・ハイランドまで入れるのはこちらの感覚そのものなのだ。それほど感覚が一致していたとすれば光栄だが、Varese独自に選んだ曲はどれもパッとしない。余裕があったらどうぞといったところ。(佐野)
 


1998年7月25日土曜日

☆Chicago : The Heart Of Chicago Volume 2 (テイチク/2427)


  昨年リリースされたシカゴのデビューから81年までの主要なヒットを網羅したベスト盤の第2弾。今度は未発表曲や、初 CD 化の音源などかなり渋めの選曲になっている。
なんといっても目玉は "Questions 67/68"  "Lowdown" の日本語ヴァージョンが初めて CD 化されたことだ。日本以外でリイシューされる可能性のないこういった日本語ヴァージョンは世界的なレア盤なのである。オリジナルのオケに乗せて歌うピート・セトラの日本語は非常にうまく、スティングやフレディ・マーキュリーのいい加減な日本語とはレベルがまったく違う。発音が正確で、自信を持って歌っているように聞こえ、個人的にはとても好きだ。(佐野)
ハート・オブ・シカゴII(196

☆Tornados : Telstar The Complete Tornados (Repertoire/4708)

ジョー・ミークの膨大なワークスのリイシューはイギリスで続けられており、ほとんどが CD 化されたが、なぜかこのトーネイドーズだけコンプリートな形でのリイシューがなかった。この作品集はRepertoireの快挙と言えよう。
なんといってもやはり "Telster" が素晴らしい。ジョー・ミークが普段から集めていたというスペイシーな装飾音に導かれ、イギリスに1台しかなかったというオルガンの、心を宇宙へと誘っていくるような魅力的な音色でヴァースが始まり、ブリッジでは美しいギターとピアノによってさらにその世界を広げていってくれるまさに奇跡の名曲である。63年に全米・全英ともに1位に輝いたが、今もまったく古さを感じさせない。作曲もミーク自身で、ソングライターとしての才能も素晴らしいものを持っていたことが分かる。ただこの CD を聴くと "Telster" の影響化の曲が多く、少々辛いかもしれない。しかし "Ridin' The Wind" を聴けば、大滝詠一の "さらばシベリア鉄道" の完全な元ネタであることが分かって興味深いし、シングルB面曲だったので自分達の好きに作ったのか、珍しいスイングするオルガン・ジャズの "Do You Come Here Often" なども非常にカッコいいので、是非手元で楽しんで欲しい。(佐野)
Telstar-The Complete

1998年7月24日金曜日

☆Neil Sedaka : Sedaka's Back(Varese Sarabande/5902)☆Neil Dedaka : The Hungry Years(Varese Sarabande/5948)☆Neil Sedaka : Steppin' Out(Varese Sarabande/5952)

70年代のベスト・アーティストと言われれば、私が選ぶのはニール・セダカ。美しく、芳醇なメロディ・ライン、ハイ・トーンで多彩な表情を見せるヴォーカル、60年代の大成功から一度底辺を見て再び花開いた彼はまさにプロ中のプロ・ミュージシャンだ。そしてこのリイシューはロケット時代の3枚のアルバムに各4曲のボーナス・トラックを加えたものである。
ロケットは70年代のニールの中でも最も多くのヒットを生んだ黄金時代だった。まず「Sedaka's Back」は「Solitaire」「The Tra-La Day's Are Over」「Laughter In The Rain」の3枚のアルバムから選曲したアルバムだ。アメリカでヒットがないため後者2枚のアルバムはイギリスのみのリリースで、 "Laughter In The Rain" が全米1位に輝いたことからニールの熱烈なファンであるエルトン・ジョンが自分のレーベルのロケットにニールを引っ張り、過去の作品からチョイスしてこのアルバムを作った。10CCのバッキングが爽快感を醸し出した "That's When The Music Takes Me"  "Little Brother" 、名曲 "Laughter In The Rain" 、美しいメロディを持つ "Immigrant"  "Solitaire" など聴きどころは十分。ボーナス・トラックにはニールのナンバーの中でも最もソフト・ロックとしての魅力を発揮した流麗な「Laughter~」収録の "Endlessly" という名曲中の名曲が収められたのが嬉しい。もの憂げなムードたっぷりの「The Tra-La~」収録の "Alone In The New York In The Rain" の選曲もいい。次にアルバムとして最も高い完成度を誇るのが「The Hungry Years」だ。メロディ・メーカーとしての才能を十分に発揮した "New York City Blues"  "Your Favorite Entertainer"  "The Hungry Years"  "Tit For Tat" の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。忘れがちなのがピアニストとしてのニールの才能で、これらの曲のバッキングのピアノも実に素晴らしいので注目して欲しい。ボーナス・トラックには娘のデラ・セダカの書いたB面曲の中から1曲と、このアルバムの英盤にあたる「Overnight Success」のみ収められていた2曲などが収められた。もう1枚は「Steppin' Out」だ。このアルバムにも "Bad And Beautiful"  "Perfect Strangers" という最高のナンバーが収められ、エキゾチックな "Summer Nights"  "Here We Are Falling In Love Again" など魅力的なナンバーがギッシリと詰まっていた。ボーナス・トラックは "Love In The Shadow" のB面収録の "Don't Let It Mess Your Mind" 、これは「Solitaire」の収録曲のリメイクで、サントラのような華麗なオーケストレーションによってさらに魅力的な仕上がりになった。そして "Time Waits For No One" は嬉しい未発表曲で、ゴスペル・タッチの佳曲だ。(佐野)
Sedaka's Back


Hungry Years



Steppin Out

1998年7月23日木曜日

ガロ : オリジナル・アルバム全 8 枚プラス 1 枚一挙にリイシュー

ガロの全てのオリジナル・アルバム 8 枚がまとめてリイシューされた。「GARO」 (アルファ/9184) 、「GARO2」 (アルファ/9185) 、「GARO3」 (アルファ/9186) 、「GARO LIVE」 (アルファ/9187)、「GARO4」 (アルファ/9188) 、「サーカス」(アルファ/9189) 、「吟遊詩人」 (アルファ/9190) 、「三叉路」 (アルファ/9191) の 8 枚の内、CD 化されていたのは「GARO2」までの 2枚だけで、残りの 6 枚は初の CD 化である。
アコースティック・ギターに 3 声の厚いハーモニーを生かし、CSN & Y を標榜した清新なサウンドが彼らの魅力だった。3 人の中で最もそのポップ・センスを発揮したのは今は亡き日高。半数以上の曲を書き繊細で日本的な曲を得意としたグループの音楽的中心の堀内。独特の泥臭いヴォーカルが印象的な大野と、それぞれ三者が違った個性を持っていた。もともと曲が書けるガロは、オリジナルナンバーで「GARO」「GARO 3」「サーカス」「三叉路」の 4 枚を作ったが、曲もアレンジも大半がプロ・ミュージシャンという「GARO2」「GARO4」「吟遊詩人」の 3 枚があり、これらが交互にリリースされたので、いまひとつ評価が定まっていない。そして皮肉なことにヒットをしたのは前者ではなく、後者だった。ただ今聴いてみると、日高や堀内、村井邦彦の作品を中心にソフト・ロック的なアプローチの曲が多く、新鮮な感覚がある。ガロは日本のポップの草分けだったと言えよう。そしてさらに嬉しいのは以前リリースされていた村井の傑作 "公園通り" や "美しすぎて" のシングル・ヴァージョンなどシングル・オンリーのA面曲を集めた「シングル・ファイル」に、ここで漏れていたアルバム未収録のB面3曲を加えた「シングル・ファイル+3」(アルファ/9192)もリリースされたことだ。これでアルファでのガロの全オフィシャル音源がまとまった。ただ、ライナーが某方面からのチェックのため全員大幅に削られ不本意なものになってしまったことだけが今も残念だ。アルファも会社がカタログ管理だけになってしまったので、廃盤は目前、お早めに。
 (佐野)
商品の詳細

1998年7月20日月曜日

☆Brian Wilson : Imagination Words+Music (Giant)


「Imagination」のプロモ CD で、ブライアン本人が紹介したり、ショーン・レノンらと対談がはさまりながらアルバムから 6 曲が紹介される。それだけではたいして興味深いものではないが、なんと最後にブルース・ジョンストン、ティモシー・シュミット、クルストファー・クロスらとアコースティック・ギター 1 本でハモる "In My Room" のライブが入っているのだ。ハーモニーはしっとりと実に素晴らしく、ビーチ・ボーイズ・ナンバーはアンプラグドが一番だと改めて再確認した。(佐野

1998年7月1日水曜日

☆Tony Rivers & The Castaways : Surf On The Beat EP (EM/7001EP)

 このトニー・リヴァース&ザ・キャスタウェイズの4曲入り EP は、内容はパーロフォンから発売が予定されていたものの未発表で終わったビートルズの "Nowhere Man" とビーチ・ボーイズの "The Girl From New York City" のカバーのカップニングに、イミディエイトからリリースされた "Girl Don't Tell Me" と "Salt Lake City" の2曲のビーチ・ボーイズのカバー・シングルがプラスされたものだ。
この中で "Nowhere Man" と "The Girl From New York City" はこの EP 以外には収録されないので、トニー・リヴァース・ファン、ビーチ・ボーイズ・ファンは買いもれのないように。 "Nowhere Man" はこの程度のハーモニーならと楽々の仕上がりで、 "The Girl From New York City" はギターがビンビン鳴るガレージっぽい元気一杯のカバーになっている。この EP 、完全限定生産なので早くに入手しておこう。(佐野)

☆Smash Hits! from The Eagles And The Kestrels (Sequel/296)





この CD はイーグルスという60年代のエレキ・インスト・バンドと、トニー・バロウズとロジャー・グリーナウェイというソフト・ロック・ファンにとっての最重要人物が在籍したことで知られるケストレルズの作品を、たまたまアルバムが同じタイトルだったからといって強引に組み合わせたものである。
問題のケストレルズはロニー・ドネガンとの共演5曲を含む全30曲、こんなに音源があったのかと驚かされてしまった。さてその出来だが、これは完全にスカ。オールディーズそのものの古臭いアレンジのサウンド、コーラスで、ビートルズやフォー・シーズンズのカバーもとてもダサい。トニー・マコウレイと並んで素晴らしいポップ・ナンバーを数多く残したロジャー・グリーナウェイ(ポップな曲を書いたのはグリーナウェイ)と言えども、62?3年ではこんなものだったのだ。まあコアなコレクター以外、とてもおすすめ出来ない代物だ。この中で "I Want You" という曲が唯一のオリジナルでグリーナウェイとバロウズの共作だが、この曲がグリーナウェイの記念すべき初作曲ナンバーだろう。
(佐野)
 



☆Various : The Song Of Greenwich & Barry (Polygram/PMP015)

バリー・マン=シンシア・ウェイル、キャロル・キング=ゲリー・ゴフィンと並ぶ60年代を代表するコンポーザー・チームのエリー・グリーンウィッチ=ジェフ・バリーの待望の作品集がまとめられた。しかし残念ながら本 CD はプロモのみのリリースである。
26曲の内フィル・スペクターがプロデュースをした作品がみな若手のカバーに変わっているが、ビーチ・ボーイズの "I Can Hear Music" を始め、レスリー・ゴーアの "Maybe I Know"  "Look Of Love" 、コニー・フランシス "Don't Ever Leave Me" 、シャングリラス "Leader Of The Pack"  "Out In The Street" 、エキサイターズ "He's Got The Power" 、ジェリー・ビーンズ "I Wanna Love Him So Bad" 、マンフレッド・マン "Do Wah Diddy Diddy" などのヒット曲や、オーティス・レディングの "I Got To Go Back" 、ムーディー・ブルースの "I've Got A Dream" などのカバー、65年にRed Birdからリリースしたエリー・グリーンウィッチのソロ・シングル "You Don't Know" 、レインドロップス "The Kind Of Boy You Can't Forget" と聴きどころは満載である。エリー・グリーンウィッチはキャッチーでポップなメロディを書く名人だったと改めて痛感した好作品集、正式なリリースが望まれる。
(佐野/Special thanks to Elliot Kendall)