パット・ブーン、ペリー・コモ、チャカ・カーンらが参加したクリスマス・アルバム「Christmas Spirit」にブライアン・ウィルソンが1曲、カーニー&ウェンディ・ウィルソンが2曲に参加していた。ブライアンが歌ったのは "Joy To The World" 、つまりあの有名な「もろびとこぞりて」である。全編がコーラスで彩られたが、アレンジがいかにも賛美歌風で、転調したり、テンポを変えたりという "技" はない。歌と歌のつなぎのパートに工夫が見られるが、ブライアンとしては地味な出来だ。ウィルソンズの2曲にはブライアンは参加していない。(佐野/Special Thanks To Forever藤本)
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1998年3月27日金曜日
Beach Boys:ビーチ・ボーイズ「Unsurpassed Masters Vol.5-8」一挙リリース
昨年末にビーチ・ボーイズ・フリークを狂喜させたブートレグ「Unsurpassed
Masters」のシリーズが一気に4タイトルリリースされた。
64年の "Fun
Fun Fun" と "Ganz Allein"
"He's A Doll" "Thinkin' 'bout You Baby" の4曲のリハーサルからファイナル・ヴァージョンまで収録したのがVol.5。リハーサルでおふざけの "Fun Fun Fun" のR&Bヴァージョンがご愛嬌だ。Vol.6は待望の「All Summer Long」のセッションで、全曲を2?20テイクずつ収めたので CD 3枚組になった。バックトラック作りで徐々に楽器が加わり次に歌が加わって完成していくその一部始終が分かる "All Summer Long" や、仮のリードメロディにコーラスをつけていく "Girls On The Beach" など聴きどころは豊富で、かつて2イン1に収められていた "Little Honda" と "Don't Back
Down" の別テイクまでそのセッション風景が収められていた。そして何よりも驚かされるのが名盤「Today」全曲を収めたVol.7~8で、 "When I Grow Up" のように59テイク入っているものまであるので、なんとそれぞれ4枚組のボックス2セットで計8枚というという凄まじいヴォリュームになっている。 "She Knows Me Too Well" のバック・コーラスが楽しめるリード抜きのテイク、ホワイト・ドゥ・ワップのような "I'm So Young" 、荒っぽい "Dance
Dance Dance" "Do You Wanna Dance" や美しい "Kiss Me Baby" の初期テイクなどに加え、2イン1のボーナスだった "All Dressed Up For School" やグレン・キャンベルの "Guess I'm Dumb" (BBヴァージョンじゃなかった)のセッションまで聴くことができるので、出費はでかいがこれを逃したらビーチ・ボーイズ・フリークとは言えないだろう。(佐野)
1998年3月25日水曜日
☆ガロ:Essence Of GARO Soft Rock Collection(アルファ/5237)
ガロと言えば一般的には "学生街の喫茶店" だが、この CD には入っていない。というのもこの CD はガロの歌謡路線の曲を徹底的に外し、彼らの本来の持ち味のひとつであるソフト・ロック的なナンバーばかり選び抜いた、タイトル通りのコレクションなのである。
だから "君の誕生日" や "一枚の楽譜"
ももちろん選ばれていない。そのため収録曲ではメンバーの中で半数以上の曲を書いていた堀内護の曲はデビッド・クロスビー的なフォーク調のナンバーが多かっため、ポップ・フィーリング溢れた曲を多く書いていた日高富明の曲(ただし初期にいい曲が偏る)の方が多い選曲になった。また村井邦彦のナンバーも多く入ったが、歌謡路線のすぎやまこういちの曲は選ばれていない。日高は名曲 "地球はメリーゴーランド" を始め、 "一人で行くさ" "小さな恋" "恋のゲーム" など、堀内は "涙はいらない" "水色の恋" "この世はサーカス" など、そして村井は "美しすぎて" "公園通り" など、さらに若き山下達郎がコーラス・アレンジを担当しシュガー・ベイブがコーラスで参加した "個人的メッセージ" などが収録された。こういう選曲で聴いてみると、ガロってこんないい曲を歌っていたんだっけと誰でも驚かされるだろう。ガロといって色メガネで見ず、是非この CD を聴いて、シュガー・ベイブや大滝以前に日本のソフト・ロックがあったということを知って欲しいものだ。ただしマスタリングで"美しすぎて" が大野克夫アレンジのアルバムヴァージョンに差し替わっていたのは未だに残念でならない。(佐野)
1998年3月10日火曜日
☆Who : Odds And Sods(Polydor/539791)
ついにフーのリマスターも、残されたこのアルバムが出て、オリジナル・タイトルではシェル・タルミーがマスターを抱えたままの「My Generation」を除き完成した。もともと未発表曲集だったこのアルバム、どれだけ未発表をプラスできるかが注目されていたが、2枚組になるという噂を裏切って?1枚もので収まった。
注目の未発表曲は64年に "Leaving Here" とカップリングでアセテートを録った
"Baby Don't You Do It" 、67年のスタジオ録音の "Summertime Blues" とエディ・コクランの
"My Way" という3曲のカバー、アル・クーパーのオルガンがフィーチャーされた
"Mary Anne With The Shaky Hand" の別テイク、ジョン・エントウィッスル作で「Tommy」の時のアウトテイク "Cousin Kevin Model
Child" 、「Lifehouse」の録音でレスリー・ウェストのギターがフィーチャーされたワイルドな "Love Ain't For Keeping" 、同じ時の録音でピートの「Who Came First」でソロ・ヴァージョンが発表されていた "Time
Is Passing" 、「Quadrophenia」のアウトテイクでロニー・レーンのヴォーカルも聴こえるピート作の軽快なロック・ナンバー "We Close Tonight" 、さらに69年のトラックのサンプル盤「The House That Track Built」のみに収録されていた
"Young Man Blues" も入り、この9曲が目玉となった。しかし
"Young Man Blues" はテンポが遅いだけでなく、「The House
That Track Built」のヴァージョンと ヴォーカルの歌い方もギター、特に間奏がまったく違う別ヴァージョンだった。LPをお持ちの方は手放さないように。元の「Odds And Sods」の曲もかなりミックスが変えられていて
"Leaving Here" は非常にクリアーになり、私が大好きな
"Little Billy" はあの軽快さとビートがややそがれてしまった。(佐野)