この人気シリーズの内容のいいものは、先の第8集のPye編のようにレーベルで括るものだったのだが、この第9集では遂にジェリー・ロスのプロデュース作品で固めてきた。
日本では本誌と「ソフト・ロックA to Z」(音楽之友社刊)でジェリー・ロスを強力にプッシュしてきたので、ここに来てジェリー・ロスという名前を聞いただけで購入する人が急増したが、このSequelはデュプリーズ、ビッグ・ディール&ザ・ロンデルス、モブ、ジェリー・ロス・シンポジウム、チェリー・ピープルなどロス関係の CD をずっと出して来た "老舗" で、スパンキー&アワ・ギャング、キース、ジェイ&ザ・テクニクス、ボビー・ヘブといったマーキュリー音源のメイン・ストリームのロス作品がまだ満足に CD 化されてない中、その "外堀" をしっかりと埋めてくれた素晴らしいレーベルなのでロス・ファンは注目して欲しい。さて本作はロスが63~70年(中心は66年まで)にプロデュースしたガール・グループの作品ばかり集めたマニアックなものだが、そのクオリティの高さはSequelのロス CD の中でも文句なしのトップ。スワンズ、サファイヤーズ、キャンディ&キスズ、ヤムヤムズ、ラブノートズなどの作品はどれも素晴らしく、作曲はロス&ケニー・ギャンブルを中心にアンダース&ポンシア、マン&ウェイルなど、アレンジャーはジョー・レンゼッティ、ジミー・ウィズナーの黄金の2枚看板で固めていた。フィル・スペクターやモータウンに強く影響されたものもあるが、 "The 81" "Gonna Be A Big Thing" など軽妙ながら華やかな我々のよく知っているロスそのものの作品も多数あり、十分にロスの世界を堪能できる。特にイントロのセンスは抜群で、いきなり頭から引き込んでしまうのはさすがとしか言いようがない。(佐野)
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