内容についてはキリがないので詳細には記述しない。日本盤には140Pものブックレットの対訳が付き、メンバーや他の著名なミュージシャンのコメントが読めるのでそれで十分だ。本誌の読者なら黙って買うこと。ロック史上最高のアルバムを、制作の試行錯誤のヴァージョン(間奏がサックスの "God Only Knows" 、リードがマイクの "I'm Waiting For The Day" 、ブライアンやカールがリードを取る "Sloop John B" などがある)から、あまりの美しさに息を飲む全曲ヴォーカル・パートのみの「Stack-O-Vocals」、ブライアンの細かい指示も生々しいバッキング・セッションの風景など、徹底的に楽しめるファンならずとも感涙の1枚だ。長く待ち望まれた「Pet Sounds」のトゥルー・ステレオも初めて収録されている。全てのリイシュー盤の中でも、97年の最大の収穫であることは間違いない。そしてEMIの100周年記念として、アメリカのEMI?キャピトルより、「Essential : The Beach Boys Perfect
Harmony」(EMI-Capitol/72438-21277)がリリースされた。紙パッケージを組み合わせた非常に凝った作りの CD で、内容的にはキャピトル時代の15曲のコンピ盤。その中でちょっと面白い2ヴァージョンがある。 "Vocal Up Version" と題された
"Hushabye" "When I Grow Up" の2曲だ。ヴォーカルをぐっと大きくしたミックスなのだが、ビーチ・ボーイズのコーラスの粋をこらしたこの2曲を選んだセンスが素晴らしい。限定盤なのでコレクターの方はお忘れなく。日本の東芝EMIよりはキャピトル時代の全オリジナル・アルバムなど20枚がリイシューされた。あの2イン1ではないので、残念ながらボーナス・トラックはない。ただ、コンピ盤の「Shut Down」は初リイシュー、冒頭にエキゾーストノートが被るミックスの「Shut
Down」はこの盤でしか聴けない。ビーチ・ボーイズではないが、ブライアン・ウィルソンの二人の娘カーニーとウェンディのデュオにブライアン自身も協力したウィルソンズのアルバムがリリースされた。その「The Wilsons」(マーキュリー/1550)は、ブライアンが作曲で "Miracle" "Everythig I Need" (後者の共作はトニー・アッシャー)に参加、ヴォーカルではこの2曲の他、自身の "'Til I Die" 、そしてなんとキャロル・キングが作曲に加わった "Monday Without You" の4曲に参加している。サウンド的にはウィルソン・フィリップスの延長だが、ブライアンが参加した曲はポップな舌触りがあり楽しめる。特にアルバムのベスト・トラックでもある "Monday Without You" は、軽快なサウンドに3人のコーラスがからみあい最高の出来。日本盤はボーナスで1曲多いのでこちらの方が得だ。(佐野)
0 件のコメント:
コメントを投稿