まずカラー・ページには日米の全シングル盤と EP 盤、そしてヨーロッパ盤のピクチャー・スリーブとプロモ、レア盤189枚のジェケットがずらりと並んで眺めているだけでも楽しい。全385曲の紹介、全アルバムをヒストリーを追いながらの紹介、パーフェクト・ディスコグラフィー(ソロや参加曲も含む)、過去3回の来日の会場・曲目まで網羅したレポート、レア・トラック分析、「Pet Sounds」と「Smile」、ソロ活動徹底紹介、関連人物のWho's Who、ビーチ・ボーイズ・フォロワーの膨大な紹介、ステレオとモノの違い、使用楽器紹介、オフィシャル映像紹介、プロモ盤紹介、日本盤の違い紹介など、これい以上ないと思われるほどの研究を行った。ライターは私を含め本誌でおなじみの小林さん、鰐部さん、藤本さん、伊藤さん、江村さん、竹内さん、中原さん、マンガ家のとり・みきさんに加え、森さん、山崎さんにご協力いただいた。どれも一騎当千のビーチ・ボーイズ・フリークばかりの構成だ。日本ではビーチ・ボーイズについて資料面を充実させてまとめた事は一度もなく、音楽誌のビーチ・ボーイズ特集は不満足なものばかりだったし、単行本はスキャンダラスな暴露本的な内容のもの中心というお寒い日本のビーチ・ボーイズ事情をこの1冊で打破出来たと自負している。日本のビーチ・ボーイズ・フリークを増やす一助となれれば幸いだ。(佐野)
1997年7月31日木曜日
1997年7月29日火曜日
☆Various : Sunshine Days/Pop Classics Of The 60's Volume1~3(Varese Sarabande/5801~3)
こと音楽の選曲に関してアメリカが日本から影響を受けることは、そうそうあるものではない。しかしこのVarese
Sarabandeの作ったコンピレーション3枚は、日本でのソフト・ロック人気を意識して作られたもので、はっきり言ってコピーと言っていいほど本誌の影響が大だった。
というのも3枚合わせた計42曲の内、34曲が本誌と音楽之友社より出した「ソフト・ロックA To Z」で紹介したもの、アメリカ人でもほとんど知らなかったサンダウナーズの "Always You" (収録のものはシングル・ヴァージョンで必聴)やフリー・デザインの "Kites Are Fun" なんていう選曲は、本誌の影響以外考えられないだろう。ライナーの中では "Soft Pop" と言っているが、ラインナップがHappenings、Classics IV、Buckinghams、Yellow Balloon、Tommy Roe、5th Dimension、Critters、Keith、Spanky & Our Gang、Mama Cass、Love Generation、Innocense、Trade Winds、Chad & Jeremy、Sagittarius、Brooklyn Bridge、Strawberry Alarm ClockなどからRonnie & The Daytonas、Hondells、Arborsまでこの範疇に入れてしまうのはまったく同じ、ここまでそっくりだともう苦笑するしかない。このVarese Sarabandeの社長にかつて会った人から、この社長はM&Mから出ていた「Melodies Goes On : Soft Rock」シリーズの大ファンという話を聞いてはいたが、その後も VANDA をよく読んでいらっしゃるらしい。まあそういういきさつはともかくとして、こういう内容だけに曲のグレードは極めて高い。購入する価値は十分だ。(佐野)
1997年7月1日火曜日
☆Paul McCartney : Oobu Joobu-Ecology (MPL)
ポール・マッカートニーのラジオ・シリーズ「ウブ・ジュブ」は、ポールの未発表曲やデモ、リハーサル・テイクなど貴重な音源が聴けるので、ジョンの「ロスト・レノン」シリーズと並んでブートレッグが既に多数出されている。その中でMPLがプログラムの5にジャケットも付けてハイ・クオリティのプロモ盤を制作した。それが本ディスクである。
詳しいいきさつは私自身も分からず、ビートルズ専門誌などを参照してもらいたい。ここでは "We All Stand Together" のデモや、
"Looking For Changes" "Peace In The Neighbourhood"
"Off The Ground" "How Many People" のリハーサル・テイク、リンダの書いた "Cow" が楽しめるが、何と言ってもハイライトは
"Mother Nature's Son" 。ビートルズとはまったく違うストロークのギターのアレンジが施され、トラディショナルな雰囲気も漂う。「Unplugged」のアウトテイクかもしれないが、やはりビートルズ・ナンバーは格別だ。(佐野)
☆Neil Sedaka : Neil Sedaka Timeless Classics Live(Going For A Song/063)
VANDA 22号で大特集を組んだ70年代のニール・セダカだが、現在 CD で入手できる70年代の音源はVarese
Sarabandeのコンピ盤だけと思っていた。
しかしイクイノックスの照井さんと中根さんからの情報によりこの時期のライブ盤 CD を入手、70年代にはライブ盤は「Live
At Royal Festival Hall」と「Solo Concert」の2枚がリリースされていたが、この CD は何のクレジットもないものの、前述の2枚とは違う録音のライブだった。選曲では
"New York City Blues" "Sad Eyes" "Lonely
Night" "Bad Blood" が初めてで、なんといっても
"New York City Blues" が嬉しい。音質はいいし、内容的にも先のライブ2枚と比べて特に遜色はなく、これはお薦めできる。選曲からいって75年のものだろう。「Neil Sedaka」(Wise Buy/866582)も内容は同じ。(佐野)
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