サウスウェストFOBはAORデュオ、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コリイの前身のバンドで、タイトル曲 "Smell Of Incense" は68年に全米56位のヒットになった実績がある。単調なオルガンのスレーズ、けだるいヴォーカル、つなぎのフレーズには突如ヴォリュームのあるギターが現れるという、サイケデリックな佳曲で、アルバム全体もそうかと思えばこれが違う。美しいフォーク・ナンバー "Tomorrow" や、初期のムーディー・ブルースでジャスティ・ヘイワードが書いたようなポップでコーラスを生かした "All One Big Game" 、 "On My Mind" を聴くと、 "Smell Of Incense" とは違うバンドのような感覚がある。しかし11分を超える大作で、単調なベースのリフとドラムのフレーズに乗って徐々に盛り上がっていくアシッド感に満ちた "And Another Thing" や、後半がヘヴィなブルースに変わってしまう "Downtown Woman/Nadine" はそれとは逆にもっとサイケ色が強い。ポップな方が本来の彼らのスタイルなんだろうが、そこにサイケ・フレーバーが入ったのはこの時代ならでは、なかなか楽しめる。ジャケットも魅力的だ。(佐野)
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