1997年4月21日月曜日

☆Sagittarius : Present Tense (Sundazed/11053)

Sundazedはジャン&ディーンの「Save For A Rainy Day」のリイシューという離れ業を演じてから、リップ・コーズの2枚のアルバム、ブルース・ジョンストンの「Surfin' 'Round The World」などを相次いでリリース、それぞれボーナス・トラックとしてアルバム未収録曲を中心に、時には未発表曲も収め、最も注目すべきリイシュー・レーベルにのし上がった。そしてこのディスクはなんと未発表曲6曲、デモ1曲、シングル・ヴァージョン2曲となんと9曲もの貴重なテイクが収められ、内容的にも最高のリイシューとなった。
さっそくその未発表曲を順に追うと、まずはハープシコードやベースのフレーズ、そしてさりげないようで高度なハーモニーをしのばせた "Artificial Light" だ。最も「Present Tense」の内容に合った曲と言えるだろう。続く "Get The Message" はボビー・ヴィー唯一のソフト・ロック・アルバム「Come Back When You Grow Up」のベスト・トラックとしてすでにご存じの方も多い佳曲。ブライアン・ハイランドのシングル(残念ながら未聴)にもなっており、ポップで力強いこの曲は前曲に続き聴きものだが、サジタリアスのナンバーとしては異色かもしれない。語り中心のゲイリー・アッシャー作の "Mass #586" 、カート・ベッチャーが作者としてクレジットされているフォーク・ロック調の "Love's Fatal Way" はたいした出来ではない。それよりもサンディ・サルスベリー作の "Lonely Girl" がいい。トゥゲザーでのソロ・シングル "Do Unto Others" やミレニウムの "5 PM" などアップテンポの爽快なポップ・ナンバーを書かせたら最高の腕前を持つサンディだけあり、この曲も軽快で浮き浮きしてしまうようなポップ・ナンバーに仕上がり出来はいい。ただしこの曲もサジタリアスぽくはないが。そしてレコーディング・セッション・シートでは存在が確認出来ていた "Sister Marie" も収められた。ただし歌はまだ入っておらず、本 CD ではその美しいバック・トラックしか聴くことが出来ない。この曲は結局、ゲイリーがチャド&ジェレミーの為に使っている。加えてデモ・ヴァージョンとしては十分なレベルに達していた "The Keeper Of The Games" のデモ、シングル・ヴァージョンとして "My World Fell Down"  "Hotel Indiscreet" も収められた。Sundazedのリイシューではイエロー・バルーンやブルース&テリーがリストに上がっており、日本と比べてやっと重い腰を上げたかという印象だが、こうしてボーナスに未発表トラックが入るのが必須なだけに楽しみだ。(佐野)
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