RON DANTE
INTERVIEW
アメリカを代表するセッション・シンガーのロン・ダンテ。デタージェンツのメンバーとして出発したロン・ダンテは、セッション・シンガーとしてアーチーズの「Sugar Sugar」やカフ・リンクスの「Tracy」を大ヒットさせたが、フロントマンのクレジットはない成功だった。ソングライター、プロデューサーでもあるロン・ダンテは他アーティストだけではなく、ソロ・シンガーとして、変名も入れると1963年から1981年までに25枚ものソロ・シングル、3枚のアルバムをリリースし、その多くは自作自演だったにも関わらずヒットはしないままで終わる。しかしそんなロン・ダンテはバリー・マニロウの共同プロデューサーとして1974年の「Monday」、1976年の「I Write The Songs」は全米1位となり、1978年の「Copacabana」は8位とようやく大成功を収めることができた。ただ成功は裏方としてだけだ。
(インタビューアー:浅田洋)
Q:まずは、あなたが音楽を始めたころの話を聞かせてください。
ロン・ダンテ:僕はドン・カーシュナーの事務所に所属していて、歌手として、またソングライターとして仕事を始めたんだ。ゲイリー・ルイス、ボビー・ヴィー、ジェイ&ジ・アメリカンズ、ジョニー・マティス等、たくさんのアーティストに曲を書いたよ。そして、僕は1963年に「Little Lollypop」のシングルでデビューしたんだ。この曲は僕と友人のダニー・ジョーダン、トミー・ウィンで書いたんだ。振り返って見ると、ヴォーカルはベストじゃなかったかど、その時はエキサイトしたね。
Q:あなたが曲を書いたのは、ポップ系アーティストが多いですね。やはりその辺の音楽が好きですか?
ロン・ダンテ:そうだね、僕はポップ・ミュージックとカントリー・ミュージックが好きなんだよ。
Q:その中で影響されたアーティストはいますか?
ロン・ダンテ:エルヴィス・プレスリー、エヴァリー・ブラザース、ビーチ・ボーイズ、そしてビートルズだね。彼らに影響を受けたし、今でも大好きなアーティストなんだ。
Q:あなたの最初の成功は、60年代のデタージェンツ(Detergents)でしたね。
ロン・ダンテ:そうさ。僕はデタージェンツで録音した。グループでツアーも行ったよ。それにたくさんのTVショーにも出演したんだ。そこでローリング・ストーンズ、ハーマンズ・ハーミッツ、リトル・リチャード、ホリーズ、アニマルズ、フレディ&ザ・ドリマーズ等々、たくさんのアーティストと共演したんだ。いい思い出だね。
Q:ビッグ・スターばかりですね。そしてデタージェンツの後はソロやゴースト・グループで歌っていましたね。その中でも私はエイス・デイ(Eighth Day)に興味があるのですが。
ロン・ダンテ:エイス・デイはピッツバーグで発掘したグループなんだ。彼らの曲は僕とジーン・アラン(Gene Allan)で曲を書いてプロデュースしたんだ。プロデュースはボブ・フェルドマンがしたのさ。僕はこのグループでも歌っているんだよ。彼らは良いグループだったね。
Q:同時にカフ・リンクス(Cuff Links)でもヒットしましたね。
ロン・ダンテ:その通り。僕がアーチーズ(Archies)として録音している時にカフ・リンクスのヴォーカルを録音していたんだ。何しろアーチーズの「Sugar Sugar」と同時に「Tracy」がチャートインしてたしね。でも、僕はカフ・リンクスのツアーには参加しなかったよ。セカンド・アルバムには参加したけどね。この2曲は僕の大好きな曲だよ。
Q:そして初のソロ・アルバム『Brings
You Up』のリリースになりましたね。
ロン・ダンテ:僕がシンガー・ソングライターとして仕事した忘れられないアルバムだね。このアルバムのプロデューサーはジェフ・バリーだけど、彼の極力はあんまり貰ってないんだ。多くの作業は自分でやったんだよ。今はCD化されたけど、マスターテープからでなくてレコードから作られたようなのでちょっと残念だね。
Q:私もそれが気になっていました。その後のソロ活動はどうでしたか?
ロン・ダンテ:君も知っているように僕のシングル盤は、いろいろな会社からリリースされたんだ。僕は歌手として成長するためにあらゆるタイプの歌を歌った。その中にはとても気に入った曲もあるけど、忘れてしまいたい曲もあるね。
Q:その後はCMソングを歌っていたのですよね。
ロン・ダンテ:そうさ。僕はTVやラジオのCMソングを歌い続けた。マクドナルド、コカ・コーラ、ペプシ。ドクター・ペッパー、マッキャンベル・スープ、アメリカン航空、TWA、GM、キャデラック、フォード等々、あらゆるCMソングを歌った。ざっと1000曲くらいあるんじゃないかな。
Q:私は、70年代のソロ作品として「Don’t Call It Love」と「Midnight Show」が大好きなんです。この曲についてエピソードがあったら教えてください。
ロン・ダンテ:「Don’t Call It Love」はちょうどバニー・マニロウと出会った時に作った曲なんだ。僕は彼のプロデュースをしたけど、彼はこの曲のアレンジとプロデュースをしてくれたよ。この曲は時期的に別名でリリースして見ようと思って、僕が気に入っていた名前のひとつのボー・クーパー(Boo Cooper)名義でリリースしたんだ。ベル・レコードのクライヴ・デイヴィスは新人歌手として、かなりプッシュしてくれたよ。「Midnight Show」もマニロウとのコラボレーションのひとつで、僕はいくつかのアメリカのTVショーで歌ったんだ。これもとてもよいヒットのチャンスだと思ったけどね。
Q:1975年には「Sugar Sugar」をセルフ・カヴァーしましたね。
ロン・ダンテ:それはバニー・マニロウのアイデアなんだ。僕は彼のアレンジが好きだったよ。レコード会社がもう少し宣伝してくれれば良かったと思うね。この曲のレコーディングはとても楽しかったよ。レコーディングにはニューヨークの素晴らしいミュージシャンを使っているんだ。
Q:そのバリー・マニロウの出会いについて教えて下さい。
ロン・ダンテ:彼とはCMソングを歌っていた時に会ったんだ。僕たちはすぐに意気投合したね。あとは君も知っているように僕は「Mondy」、「I Write The Songs」、「Copacabana」等をプロデュースしたんだ。これは大成功したね。今までに6000万枚以上売れたけど、まだ売れ続けているよ。
Q:その後はミュージカルやディズニーの音楽を手掛けていたんですね。
ロン・ダンテ:ブロードウェイ・ミュージカルの「Ain’t Misbehavin’」は大ヒットしたね。1978年にトニー賞を受賞したんだ。実はミュージカルは昔から手掛けていたんだよ。ディズニーはTVシリーズものを手掛けたよ。そういえば、君から貰った東京ディズニーランドのピンバッジはなかなか良かったよ。僕とガールフレンドはこれを集めているんだよ。
Q:気に入って頂いて嬉しいです。話は変わりますが、1999年に行われたRhinoのコンサートでは何を歌ったのですか?
ロン・ダンテ:「Sugar Sugar」、「Tracy」、「Yummy,Yummy,Yummy」だよ。このコンサートにはトニー・バロウズも参加したんだ。君から彼へのプレゼントは渡しておいたよ。
Q:どうもありがとうございます。トニー・バロウズはあなたと比較されることがありますが、彼についてはどう思いますか?
ロン・ダンテ:彼は僕が好きな歌手のひとりだよ。今まで聴いた歌手の内、彼の声はベストだと思う。それに彼はあらゆるタイプの歌を自分の歌のようにしてしまうところがすごいね。
Q:それでは、あなたの一番新しいアルバムについてコメントを頂けますか?
ロン・ダンテ:実は『Rock’n’Roll Legends Live』と『Favorites』のサウンドは好きじゃないんだ。僕は完璧主義者だからね。
Q:今後の予定について教えて下さい。
ロン・ダンテ:今年の夏と秋にツアーを予定しているよ。それと新人アーティストをプロデュースする予定もあるんだ。そのひとつはラス・ベガス出身のCherryoneという女性グループだよ。
Q:最後に日本のファンの皆さんにひとことお願いします。
ロン・ダンテ:僕は日本のファンにいつも最高に感謝しているよ。僕は皆さんに支えられて今日まで来られたんだ。
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